唐招提寺を後にして、向かうは薬師寺。
7分程度歩くと、薬師寺に到着することが出来た。
薬師寺
興楽門を横目に拝観受付へと向かう。
白鳳伽藍と玄奘三蔵院伽藍の拝観が可能な拝観料は¥1,100だったけれども、更に西塔・食堂の拝観が可能な共通拝観券が¥1,600ということだったので、そちらを選んだ。
順路に従って進むと東院堂に辿り着いた。
東院堂
堂内には、国宝の聖観世音菩薩様がいらっしゃり、その四方は鎌倉時代の四天王像が守護していた。
お招きいただいたことに感謝してお参りさせていただく。
そして中門に辿り着いた。
中門
本来ならば中門前の南門から入るのが正しかったのかも知れないと思いつつ、近くにあった手水で清める。
そして中門でお護りされている方々にご挨拶させていただき
中門を潜ると金堂が目に飛び込んできた。
金堂
金堂向かって右側にある東塔は工事中だったのでその姿を見る事は出来なかった。
金堂には薬師如来様がいらっしゃる。
そしてそのまま大講堂へと向かう。
大講堂
大講堂の本尊には弥勒三尊像、後堂には仏足石が安置されていた。仏足石の両脇には釈迦十大弟子も祀られていたのだけれども、その釈迦十大弟子の姿を見て、何故か感動している自分が居た。
そして特別公開されていた西塔へ。
西塔
内陣に向かうまでの間にお釈迦様についてのパネルが展示されていて
内陣にお邪魔すると釈迦八相像が祀られていた。
薬師寺のHPでも見ることが出来るのだけれども、やはり実際に目の当たりにするとその迫力たるもの凄まじいものがあって、思わず息を呑んでしまった程だった。
そんな中、11時から金堂で説法があります~とのアナウンスが響いていたので、金堂へと向かう。
薬師寺と言えば、説法で有名なところだと言うことで、チャンスがあれば説法を拝聴したいと思っていた身としては、良いタイミングでお伺い出来たことに感謝せざるを得なかった。
そして金堂内の説法が行われる場所に向かうと、かなりの人が居たけれども座れなくは無い状況だったので、長椅子に腰かけて説法を拝聴することが出来た。
11時になり説法が始まった。
薬師寺のお坊さんは本当にお話が上手くて、時折ジョークを交えてお客さんの心を掴みつつ、薬師寺というお寺について人々に分かりやすくお話されていた。
例えば、金堂にお祀りされている薬師如来様について。
薬師如来様と言えば、薬壺を持ち病気を治す仏様として知られているけれども、その病気と言うのは身体の病気だけではなく、心の病気も治されるという。
それが健康な状態と言うのだけれども、健康というものは「健康」という漢字が示しているように、「健」は身体が丈夫だという意味を持ち、「康」は心が安らかな状態を示しているとのことだった。
そして薬師如来様のそばにいらっしゃる月光菩薩様と日光菩薩様についても説明下さり、簡単に言うと、薬師如来様というお医者さんに仕えている看護婦さんの様な存在で、日光菩薩様は日中に、月光菩薩様は夜間に勤務されていて、24時間休むことなく人々を救っている、というとても分かりやすい比喩で説明されていることに、甚く感心してしまった訳でして。
また薬師寺は、法相宗の鼻祖として西遊記で知られている三蔵法師様がお祀りされているところでもあるのだけれども、この説法でも三蔵法師様についての説明があった。
西遊記は孫悟空、猪八戒、沙悟浄という妖怪と共に、三蔵法師様が天竺を目指すというストーリーだけれども、実際は三蔵法師様がそれらの妖怪と共に天竺に向かったと言う訳ではなく、己の中にいる妖怪~孫悟空は慢心、猪八戒は欲~等々を携えて、不東の精神で天竺へと向かう話なのだということを聞いた。
薬師寺にお伺いする前に読んだ本があった。
『薬師寺・好胤説法』という薬師寺元管主である高田好胤様の説法集。
その中に微笑ましいエピソードが書かれている。
その亀井さんの息子さんが修学旅行でやって来た。で、その時に話をしたんです。中学生、帰りました。奈良、京都の修学旅行の感想を一行ずつで書けて言われて、書かされた。それが文集になってるんですねぇ。で、後日、東京に行った時に、亀井勝一郎先生が「好胤さん、家へちょっと寄って欲しい」
吉祥寺のお宅でした。「これ見て下さい」というて見せて下さった、その文集。その中にこんなん書いたった。一行です。
『寺は金閣、庭は竜安、坊主は薬師寺ベリーグッド』と。
~『薬師寺・好胤説法』より引用
薬師寺は現在でも修学旅行生に説法を説き続けている。
今回、修学旅行生でも無い私も、ご縁で説法を拝聴させていただくことが出来たけれども、やはりその説法の力は、年代を超えても素晴らしく感じ、特に多感な10代の時に、修学旅行先でこういった信仰心に満ち溢れたお話を聞くことが出来るということはとても恵まれていることなのではないかと思ってしまった。
貴重な言葉に触れること、それは、人生を左右する力がある訳でして。