根本中堂を後にして、東塔エリアを歩く。
この日は16:30に閉堂だということで、この時点で16時近くだったので、慌てて次の場所へ向かう。
そこは、大書院。
この日は伝教大師1200年大遠忌記念・非公開大書院特別公開『ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展』 が開催されているということで、 通常非公開である大書院に入れるということだったのだけれども、拝観受付が15時30分までということで、大書院の中にはお伺いすることは叶わなかった。
しかしながら、通常門の中にも入れない場所に立ち入ることだ出来たことは大きな喜びで
傍らに山王社が御鎮座されていることに、初めて気が付くことが出来たのも収穫だった。
霧に包まれた文殊楼は幽玄な雰囲気を醸し出していた。
そして久方ぶりにお伺いしたのは、星峰稲荷社。
狐さんたちに、随分と久しぶりじゃないと突っ込まれながらも(笑)
こちらに再びお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただいた。
比叡山はたびたび小説の舞台としても登場し、有名なところでは夏目漱石の『虞美人草』だと思うのだけれども、谷崎潤一郎の『二人の稚児』という小説でも比叡山が描かれているとのことだった。
儚い夢よ。
人生などは、たかが幻想。
その幻想の中で、私は、何を右往左往して、もだえ苦しんでいたのだろう。
そんなことを思いながら、比叡山延暦寺を後にした。
聖地という場所では、必ず気付きをいただける。
だから、私は、旅に出るのだろう。
それはまるで、異次元へ向かい、自分をリセットして、そして娑婆に戻るようなもの。
下界に近づくにつれ、身が引きしまる想いにかられた。
ここで学んだことを、現実の世界にも表していかなければならないのだろうと。
そして、現実の世界の東京へと戻った。
人生は儚い夢かも知れないけれども、それだからこそ私はそれを謳歌したいが故、また旅に出る。