京都で宿泊していたホテルから京都駅に向かう際にタクシーを利用した。
いつもながらタクシーの運転手さんとお話ししながら移動と相成った訳だけれども、外国人観光客について話していた際に興味深い話が聞けた。
やはり外国人観光客は民泊を利用することが多いらしい。
民泊と言うのは普通のマンションの一室を貸し出しているケースがほとんどなので、スマホの地図を見せられてここに向かってくれ、と言われても、地図に表示されない入り組んだところにあったりするので、タクシーの運転手さんとしては、正直困惑しているらしい。
民泊で貸し出されているマンションの周辺の住民の方々も、宿泊客がキャリーバッグの音を響かせてやってきて、夜中に騒いだり、ゴミが辺りに散乱したりしていることにほとほと困っているけれども、民泊のオーナーはそこには住んではいないので、結局は周辺住民の皆様に負担がかかっている、と。
また伏見稲荷大社は外国人に人気のスポットとなっているけれども、知識もなく気軽にお山に登ったりするので、途中で助けを求めたり、迷ったりする人も居るということ。
私も京都は好きだけれども、外国人観光客の多さに辟易としている面があるので、これから奈良に向かうんです(笑)と冗談めかして言ったら、奈良も外国人観光客は多いですよ~と言われたので、これから吉野に向かいますーと伝えたら、吉野ならばそんなに居ないかもね、と。
しかし、吉野にも外国人観光客の波は押し寄せていた。。。
金峯山寺と脳天大神龍王院ではさほど目にしなかったのだけれども、吉野のメインストリートに向かうと、聞きなれない言語が飛び交っていた。
そんな外国人観光客は世界遺産になっていないお寺には興味が無いとみえ、東南院ではゆっくりとお参りすることが出来て、一安心。
東南院
吉野山 寺宝めぐりというものが開催されていて、普段は閉まっているお堂の扉が開かれていた。
役行者さまと大日如来さまに、こちらに再びお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただく。
東南院は私にとっては非常に思い入れのある寺院でございまして。
そして、吉水神社へと向かった。
吉水神社にお伺いしたのは4年程前。
世界遺産ということもあるのでしょう、こちらでは多くの外国人観光客の姿があった。
吉水神社
まずはこちらに再びお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただく。
お参りさせていただいた後に、書院を拝観するために受付で拝観料を支払おうとした際に、近くにある御朱印受付所に居た女子達の会話が聞こえてきて
「拝観する?」
「え、御朱印もらうだけでいいじゃん」
と、耳を疑うような発言が、今の御朱印ブームとやらを表しているのだろうなぁ、と思った。
拝観料を支払い、書院を見学させていただく。
書院の中は写真撮影NGとは書かれていないのだけれども、ここ写真に撮ってはいけないという気が訪れる度にするので、書院の中では写真を撮らなかった。
しかしながら、空海さん作の「灰佛弁才天」やら最澄さま作の「荼枳尼天」などの宝物があり、しかもそれらが恭しく展示されていないことに驚きつつも思わず見入ってしまった。
傍から見たら相当怪しい人だったのだとは思うけれど(笑)
書院を出て、邪気払い所に差し掛かる。
ここで九字を切れば邪気払いになるらしいのだけれども、私個人の意見としては一般の人が気軽に九字を切るとかそういう真似はしない方が良いと思っているので、お参りだけさせていただいた。
吉水神社はそれはそれで素敵なところだとは思うのだけれども、レンタル着物を着た外国人がせっせと写真撮影に励んでいる姿を見て、吉野もそういう場所になっちゃったのか、と一抹の寂しさを感じたりしてしまった。
私が尊敬している高城剛さんは『NEXTRAVELER 京都: 素敵な星の旅行ガイド』の中で、「観光パニック」という項で警鐘を鳴らしている。
観光都市として先行するバルセロナは、観光客の宿泊を目的としたマンションの固定資産税を引き上げ、新たな認可をやめると発表。つまり、「観光客削減」に舵を切りました。盛り上がる京都観光を楽しめる時間は、そう長くないのかもしれません。
京都だけではない問題なのだろう。
吉水神社から見た桜はそれこそ壮観、という言葉がふさわしい程、美しい光景だった。
しかしながら、本当にお参りすべく人が、満足にお参り出来ないような状況を改善させることこそ必要なんじゃないかな、と今回の旅では思うところが多かった。
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