文章のコツ~『空海人生の言葉 現代語訳』より

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以前別記事にもしたけれど、2014年12月に東寺にお伺いした際にいただいた「お大師さまのおことば」に感化されて、『空海 人生の言葉 (携書131)』という本を読んだ。

この本を読めば空海さんのことがバッチリ分かる、という本では無いのだけれども

  • 心について
  • 身体について
  • 志について
  • 戒めの言葉
  • 縁について
  • 道について
  • 詩と文章について
  • 秘密の教え
  • 聖なる言葉
  • 自然(じねん)について
  • 生と死について

というカテゴリーに分けられて、お大師さまの言葉が収められている。

私が特に参考にしたいと思ったのは、詩と文章について、で書かれていた言葉だったりする。

ブロガーのみなさんを始め、文章を書く人にとってとても参考になる言葉だと思ったので、ここで幾つかピックアップしてみました。

自由な心で

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photo credit: P1040400 via photopin (license)

夫れ文章を作るには、但だ多く意を立つ。左穿右穴して、心を苦しめ智を竭さ令え、必ず須く身を忘れて、拘束す可からず。

~文鏡秘府論 南

文章を作る際には、ああだの、こうだの、といろいろな考えを巡らせてみましょう。左に穴を掘ったり右に行ったり、悪戦苦闘しながら知恵をしぼって、時間を忘れ、自分さえも忘れて、何ものにも縛られない自由な心で書いてみましょう。

イメージしよう

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photo credit: Japan 2012 via photopin (license)

高山の絶頂に登るが如く、下に万象に臨みて、掌中に在るが如くし、此を以て象を見れば、心中に了らかに見る。此にあたりてすなわち用うれば、似ざること有る無きが如し。

~文鏡秘府論 南

エベレストの頂上に立ったときのように、あらゆる物を見下ろして、世界があなたの掌にあるように見ることができれば、心の中にくっきりと対象が浮かびあがります。

その状態で手を動かせば、よい文章が降りてくるでしょう。

創作したいと思ったら

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photo credit: Smith-Corona Typewriter via photopin (license)

意に文を作らんと欲せば、興に乗じて便ち作れ。若し煩に似れば即ち止めて、心を令て倦ましむる無かれ。常に此くの如く之を運らさば、即ち興、休歇する無く、神終に疲れず。

~文鏡秘府論 南

創作したいと思ったら、気分が乗っているときに作ること。アイデアがつまったときにはすぐやめて、心がくたびれないようにしましょう。
いつもこのようにして心をはたらかせれば、想像力が尽きることもなく、心が疲れることもないでしょう。

強引に書こうとしない

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若しくは也た情性煩労し、事由寂寞として、強いて自ら催逼すれば、徒に辛苦を成す。翰を韜め筆を屏けて、以て後図を須ち、心慮の更に澄むのを待ちて、方めて連緝を事とするには若かず。止だに作文の至術のみに非ず、抑も亦た養生の大方なるのみ。

~文鏡秘府論 南

もしあなたが思索することに疲れて文章が上手くまとまらないときは、いくら強引に書こうとしてみても、辛く苦しいだけです。そんなときはいっそペンをおいて後で考えることにし、心が澄んでくるのを待って、態勢を整えてから創作に臨むのがよいでしょう。これは単に文章作法のコツだけではなく、人生に通じる大切な法則でもあるのです。

流行り言葉は使わない

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photo credit: New Nintendo 3DS via photopin (license)

古語及び今の爛字旧意を用ふる莫かれ。他の旧語を改めて、頭を移して尾を換う、此くの如きの人は、終に長進せず。

~文鏡秘府論 南

文章表現には、古い言葉や流行り言葉を安易に用いないこと。他人が使いふるした言葉や文章を使ってごまかしても、そんなことをしている人は進歩しないものです。

他人の目なんて気にしない

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凡そ詩は意を立つるに、皆傑起険作して、傍らに人無きが若くし、須く怖懼すべからず。

~文鏡秘府論 南

詩情を保つには、大胆な発想をもって、人目を気にせず、びくびくしないこと。

まとめ

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この他にもこの本には、素敵な言葉が沢山おさめられていました。

私もこうやってブログなんかを書いていると、神社仏閣に限らず、素敵な物事など、出来るだけ感じたままに表現出来ればいいなぁ、とは思っているけれども、文章に落としてみて読み返してみると、全然表現できてないなぁ、、、と思ったりもする。

けれども、この文を読んで、空海さんだって同じように感じていたのかと思ったりした。

こういう自らを反省するような言葉をちゃんと残しているのが、私が空海さんが好きな理由だったりするのです。

自ら文を属る毎に、尤も其の情を見る。恒に意の物に称わず、文の意に逮ばざるを患う。

~文鏡秘府論 南

私、空海は文章を書くたびに、著者の気持ちが痛いほどわかるのです。いつも心に浮かぶことと書くものがそぐわず、文章に上手に表現できないことを。

空海 人生の言葉 (携書131)

空海 人生の言葉 (携書131)

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