天才・上岡龍太郎の『引退-嫌われ者の美学』を読んだ

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見仏コンビのお二人が金峯山寺に行かれたようで、TV見仏記は東京では見られないので、地団駄踏んでます(笑)2013年6月に高野山に行った時も、ロケしている向井理と片桐はいりを見たけれど、このオンエアは関西圏だけだった(泣) TV番組は関西の方が面白そうなもの沢山ありますよね、ホント。

関西のタレントさんと言って思いだすのは、上岡龍太郎さん。昔深夜まで起きて「探偵ナイトスクープ」や「パペポTV」なんかを夢中で見ていた。もう引退されてしまったので、TVで姿を見る事が出来ないのはとても残念。今は「探偵ナイトスクープ」もMXテレビで日曜日の夕方5時なんていう時間に見られるようになったけれど、局長が上岡龍太郎さんじゃなくなってからは、つまらなくなったので観てないなぁ。

上岡龍太郎さんの『引退―嫌われ者の美学』という本を読んだ。

上岡龍太郎さんの幼少の頃から引退するまで、そして引退後の予定が書かれている自叙伝のようなものだったけれど(実際は弟子吉治郎さんという方が書かれているらしいですが)、人生で必要なことは、ここにほとんど書かれているんじゃないか?って思わせる程だった。

悩んでいるのではなく迷っているだけ

上岡龍太郎さんは人生で悩んだことが一度もないということで、

 そもそも、これから先に、右に行けば何があり、左には何があるのかが分かっていれば悩まない、迷わない。悩むのは、データが全くないか、判断できるほとの量がないということだ。データがなければ仕方がない、偶然性で選べばよい。

自分の価値基準がしっかりしているときも悩まない。そのときのその状況を選択するに足る基準がなければ、何か変わりの判断基準を探すべきである。それでもなければ自分の基準を作ればよい。ただし、自分が作った価値基準なのだから後で文句を言わないこと。

ある種村上龍の言っている「最優先事項を考えること」というのに、似ているなぁ、ナンテ思いながら読んでいた。

今が上り坂、だから苦しい

上岡さんは『上岡龍太郎のマラソンは愛と勇気と練習量』という本を出してるくらいマラソンがお好きだそうで、マラソンに例えて人生というものを語っている文章を見つけたときは、なるほど、と思ってしまった。

目に見える崖のような上り坂なら、はじめからこれから上り坂を走るのだと覚悟を決めるから、たいしてしんどくはない。見た目には平坦に見える上り坂の方が、身体は敏感に察知する。逆に下り坂。あまり急な下りは恐くて走れないが、緩やかなる大地というのは、どんどんどんどん下っていくから、快感を覚えるほど楽しい。だがこの下っているときが曲者で、ついついスピードを出しすぎて、さらに脚力を使うから、あとになって響く。下りの快楽はまさに地獄への転落過程。

バブルの時代に楽だなァ、今が天国だと思っていた人たちが、転落していくスピードは凄まじかった。それは経済社会の出来事だけではなく、物の考え方も節度も全てが坂道を転がっていった。今苦しいと思っている人たちは上っているのだから、安心してよい。

今の時代だと秒速で億を稼いだ人が、秒速で転落していった様をイメージすると分かりやすいかも。

~神とともにある人生~

上岡さんと言えば、占いや宗教を嫌っていることでも有名ですが、上岡さんは全否定してる訳ではなく、それを利用して人の弱みにつけこんで商売をする人や恐怖を煽る輩を徹底的に嫌ってるだけなのです。私もスピリチュアル商売している輩が大嫌いなので、こういうことを言ってくれる人がもっと出てくれば良いなと思ってます。

上岡は玄関の呼び鈴を鳴らしてやってきた神の御使いと親しく対話したことがある。

「あなたは神を信じますか」
「私は神を信じます。ところであなた自身は神を信じていますか」
「もちろん信じています」
「ではあなたは私に祈りなさい」
「どうしてですか」
「私が神ですから」

上岡にとっても神は存在するが、それは上岡自身。自分自身が神であるから、自分との対話が神との対話になる。したがって祭壇も寄付も儀式もいらない。つまり宗教的装いはいらない。上岡にとって、神の領域は宗教の領域ではなく哲学の領域なのである。

お客様は神様とは、客は、犯人が誰かも、動機が何かも、アリバイの穴も全て知っている全知の存在だから神であるということである。
神の目とは、客観の目、第三の目、岡目八目の目なのである。
漫画トリオは鳥居重夫という客に扮した神の目を持っていた。その目が漫画トリオを育てた。今は漫才も落語もありとあらゆる芸能が、そればかりでなく、世の中全てが自分たちの世界を重んじるあまり、大事な神の目を失っている。

芸人さんの本だわ、なんて軽く考えて読んでいた自分がバカだった(爆)

引退―嫌われ者の美学
引退―嫌われ者の美学

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