奈良から戻ってきてからというもの、さだまさしさんの「まほろば」ばかりを聞いていた(笑)さださんのお名前は勿論知っていたけれど、私より年上の方が聞く音楽だと思っていたし、4/6に行われた「伊勢から春日へ」のシンポジウムで、さださんの講演を聞いた際も、話がお上手な方だなぁ、位の印象しか受けなかった(←スミマセン)
しかしその講演の際にさださんが言っていた「奈良は何かが降りてくる場所」で「まほろば」という歌も奈良で書いた曲、という言葉が、やけに印象に残った。そして私自身、4/16~4/19に奈良に実際行ってみて、確かに「奈良は何かが降りてくる場所」ということが分かった。
さださんは小説なども書かれていると知り、早速『はかぼんさん: 空蝉風土記』という本を読んでみた。
奇譚集、という言葉がぴったりの、摩訶不思議な世界が繰り広げられていた本だった。最初読んだとき、ノンフィクションかと思ったけれど、フィクションだと知り、ちょっと安心してしまったのも事実(ただ、ノンフィクションである部分もあるとは思うんですけどね)
この本はタイトルの『はかぼんさん』を始めとして、六つの短編で構成されている。私が一番好きなのは『同行三人』というお話。四国遍路で有名な第60番札所横峰寺の奥の院 星ヶ森を舞台として、物語は始まる。
この横峰寺というお寺について調べたら
寺伝によれば役行者(役小角)が石鎚山頂で修行をしていたところ、蔵王権現が現れたのでその姿を石楠花の木に刻んで堂に安置したという。その後行基が天平年間(729年 – 748年)に、空海(弘法大師)が大同年間(806年 – 810年)に入山したと伝え、空海が入山した際に大日如来を刻み、これを本尊としたという。
~Wiki横峰寺(よこみねじ)より引用
と、役行者さまや蔵王権現さまのお名前を見て、ひっくり返りそうになった。金峯山寺行ったばっかりだったもんで。。。旅行後にこの本を読むというのも、偶然ではないんだろうなぁ、と思いつつ。
このお語が好きなのは「救い」を感じるから。人は必ずお役目があって、それを実行するために、罰と思われるような残酷な状況に陥るかも知れない。けれども、その罰の償いだけで、一生を終えるか、その罰を磨いて宝とするか、が修行だということ。それを「救い」と言うのは、あまりにも簡単かもしれないけれど、この言葉を目にしたとき、涙が止まらない状態になってしまった。
それと、このお話には神様に接する際に必要な事がさりげなく書かれているのも好きだったりする。
- 眷属さんの性質
- 神様の名前を簡単に口にしてはいけないこと
- 神様のお名前を書いた紙をその辺に放っておくことなどはもってのほか
- 言霊を動かす方法と止める方法、等々
これを読んだら、パワースポットと言われる場所で御神体である石などに向かって手をかざしたり、磐座によじ登ったりするということが如何に危険な行為かというのが分かるかと。また、自分の(霊的)能力を自ら宣伝する輩は信用しない方が良いってことも、改めて認識できたのでした。
『同行三人』以外も、日本という土地が不思議なところであるというお話の数々で、神社仏閣に興味がない方でも、とても楽しめる本だと思います。さださんのご本はこの他にも数冊読まさせて頂きましたが、さださんって、実は只者ではなかったのですね(←イロイロな意味で)