アグニの神と青い鳥

先日、お昼に気になっていたお店「青い鳥」さんのランチをテイクアウトしてきた。

こちらのお店は陰陽バランスを整える重ね煮を使用したカレーを提供しているということで、カレー好きな人には有名らしいのだけれども、ご縁が無くて今までお伺いしたことが無かった。

ただ自粛生活も長引き、気分転換も兼ねてお散歩がてらに新規開拓、ということで初訪問。

商店街の路地へ入ると、こじんまりとした建物があり、1階は現在空き店舗となっていてちょっと寂しい雰囲気が漂っていた(金色不如帰というラーメン屋さんがあったそう)

その隣にある青いドアを開けると、2階の青い鳥さんへと続く狭い階段が目に入る。

狭い階段を登りお店に入ると、周辺の雑多な空気感とは一種異なる世界が広がっていた。私が定期的に通っているマッサージのサロンに似たような、そういった和やかな雰囲気。

カレー屋さんじゃないみたいだ、と思いつつ、お店の方にテイクアウトをお願いして、準備していただいている間にお店の中を見渡すと、欲しいと思っていたトゥルシー茶が販売されていることに気付く。

トゥルシーというのは、アーユルヴェーダの中でも有名な薬草。

トゥラシーはヒンディー語でトゥルシー、英名はホーリーバジル。いやしのハーブだ。「葉を一日一枚食べれば、病知らず」とアーユルヴェーダも絶賛する。

ヴィシュヌがついてるから、邪悪なものを祓う効果もある。これは本当だ。筆者は数年来トゥルシーを栽培しているが、家にはゴキブリがまったくいなくなった。

図説ヨーガ大全より引用

インド政府伝統医学省(AYUSH)のコロナウイルス危機時のセルフケアというPDFを読んだ時、トゥルシー&その他スパイス等を煎じたお茶を飲むように、との記述があり気になっていたので、そのトゥルシー茶がまさかカレー屋さんで販売されているなんて!と驚いてしまった。

最近朝と晩にヨガの太陽礼拝と月礼拝を行うようになって、一種のモヤモヤ感を抱えてきた自粛生活に光が差してきたかのように、心が落ち着くようになった。

となると、ヨガ&アーユルヴェーダにも興味が出てきたので、いろいろな本を読むと(当たり前だけれども)仏教と共通している部分も多く、これまでの神社仏閣巡りで培ってきた仏教の知識というものがこれらの教義を理解することに役に立っていることに気付く。

そして美味しいカレーとトゥルシー茶を購入して、おうちでいただいた。

アーユルヴェーダでは、食事をいただく際にはお腹のアグニの神様にお供えする気持ちで、という考え方があるそうで、青い鳥さんのカレーは、私のお腹のアグニの神様も満足されたようです(=身体に優しい味でとても美味しゅうございました)

アグニの神様と言えば、芥川 龍之介の『アグニの神』を思い出す。

簡単に要約すれば、アグニの神様が、金目当てで占いを行っている強欲な老女によって拉致された少女の願いを聞き入れ、強欲な老女を罰するという内容の短編。

小説の読み方はいろいろあるけれども、私は小説の中でのアグニの神様のお言葉が、現在の全ての状況を示しているのではないかと感じてしまった。

「いや、おれはお前の願いなぞは聞かない。お前はおれの言いつけに背いて、いつも悪事ばかり働いてきた。おれはもう今夜限り、お前を見捨てようと思っている。いや、その上に悪事の罰を下してやろうと思っている」

~『アグニの神』より引用

この言葉の後、アグニの神様が救いの選択を与えたのにも拘らず、強欲な老女はそれを無視したが故の結果となる。

このアグニの神様のお言葉を、自分自身に当てはめて考えてみると、自分の身体をないがしろにして、身体によくない食べ物などを取り込むことや、必要以上に働いて心身を痛めつけるということは、自身の中にいらっしゃる神様に背いているのではないかと。

そして、世の中に目を向けると経済的な成長ばかり望み、自然を破壊してきた人間に対して、大いなる存在から突きつけられたのが今回のパンデミックとも考えらえる。

今後、それぞれがどういった方向に進むかで、大いなる存在からの審判が下されるのだろう。

青い鳥さんのショップカードは意味深で

両手の手のひらの中に、青い鳥が描かれている。

先日Twitterでも呟いてしまったのだけれども


幸せというもの。

青い鳥とも例えられるそれは、外に求めなくても自身の中にあり、人と比べるためのものでもない。そして誰かが何かをしてくれることを期待することなく、自分の中で幸せを感じること。

幸せというものはまず自分自身が自分であるという喜びを感じて、そしてその幸せの波動を他者に与える事ではないかと。

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