空海さんの凄さを感じた~『京都・醍醐寺展 真言密教の宇宙』へ行ってきた

京都の旅日記を書いている途中ですが、本日六本木にあるサントリー美術館で見た『京都・醍醐寺展 真言密教の宇宙』が素敵すぎたので、感動さめやらぬ内に記事にすることにしました!

会場はミッドタウン東京内のサントリー美術館。

六本木に来るの久しぶりだなーと思いつつ、ガレリア3Fにあるサントリー美術館へ。

当日券は¥1,500なのだけれども、サントリー美術館のHPに割引クーポンがあるので、それを印刷して提示すれば¥100引きになるというのは豆知識(←スマホでスクショを撮って見せてもOKでした)

別に音声ガイド(¥550)も借りて、荷物をロッカーに預けていざ観覧。

最初に醍醐寺と言えば有名な如意輪観音様がいらっしゃったのだけれども、やはり土曜日ということもあって、多くの人が居たため、じっくりとお姿を観るという雰囲気では無かった。

その他五大明王像や薬師如来および両脇待像など、必見というべき仏像は沢山あったのだけれども、今回、私が一番印象に残ったのは、空海さんの書だった(私は敬愛の念を込めて空海様を、「さん」づけしてしまうことはご了承くださいませ)

それは「大日経開題」と言われる、若い頃の空海さんが密教を修学していた頃「大日経疏」から大事なポイントを抜き書きしたメモと考えられている書で、その文字は私が今まで見て来た、整然と整えられた空海さんの字体とは全く異なった、それこそ、空海さんが若さ故「知」に飢えているような気迫を文字から感じ取ってしまったのだった。

この書を見ただけで、己の自意識が吹っ飛ぶ位の衝撃を受けてしまった訳でして。まるでおかざき真理さんの『阿・吽 』の中で描かれているような、そんな世界が目の前に広がっていた。

この『京都・醍醐寺展 真言密教の宇宙』展を通じて、密教、そして空海さんのことを再び考えることで、最近思いあぐねていたことの答えをいただけたような気がした。

それは「欲」と言うもの。

ああなりたい、こうなりたい、という欲と言うものの為に、自分は苦しんでいるのだから、その欲を無くせば「幸せ」という状態になれるのではないか?けれども、その「欲」が無い状態から何かを生み出す事は出来るのか?、ということ。

己が幸せになりたい、と言う気持ちは欲ではないのか?

そもそも幸せとは何か?

そんなことばかり考えていて、逆に自身の軸が定まらずに、宙ぶらりん状態。

けれども空海さんの「知りたい」という、ある意味強大な「欲」に満ち溢れた書を見て、「欲」というものは決して悪いものではないということが理解することが出来た。

すっかり忘れていたけれども、昔高野山にお伺いした際に手に入れた書籍に、こういったことが書かれていた。

このような現世に対する否定精神を否定する密教の精神こそが大乗仏教の究極的精神であると弘法大師空海は説いた。すなわち釈迦いらい仏教思想に内在している現世否定精神を放棄し、人間を不幸におとしいれるさまざまな欲望から完全に離れうるものでないならば、欲望を浄化コントロールし、普遍化させた大欲としてそのもののもつ真価を求めるべきではないかとし、現世に生きる成仏観のもつ密教思想が大乗仏教思想に対して優位な思想であることを説かれたのである。

すなわち法身大日如来が生み出した現実の世界には、大日如来が説法し私達に生きる喜びや生命のいざなう世界には無限の宝やエネルギーが存在している。その生命観にあふれた世界の中に物心両面にわたる宝を発見し、エネルギッシュに生きるすべを説いているのが密教であり、無限の宝は自分の身の中に存在する。

その宝とは人間の真の智恵であり、その智恵に触れ喜びを感じた人間には現世に存在する苦や無常観から生じる迷いに心うばわれることはないと積極的に現世に生きる人間の歩むべき道を密教は私達に教えていると説き、その無限の宝を見つけることも身につけることもできずにいるのが伝統的な仏教思想観であると、密教思想と既存仏教思想との立場の相違を明らかにされたのである。

~『顕教の仏たち』より引用

高野山にお伺いしていた頃には理解していたつもりだったけれども、時と共にすっかり忘却の彼方に置かれていた、この教えを、再び思い出すことが出来た。

感動冷めやらぬまま、グッズコーナーで図録をチェックして「大日経開題」が掲載されていること確認して手に取り、醍醐寺のお線香やポストカードなどをゲットして帰路に着いた(ちなみにグッズコーナーにも『阿・吽 』が置かれていました)

空海さんは、ほんとすごい。

時空を超えて、人を動かす力がある。


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