今回再び鎌倉に行こうと思ったのは、長谷寺の観音様にお会いしたかったからだった。
気力が落ちている際にご縁があって篠田 桃紅さんの『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』と言う本を読んだ。
その中に
静かに笑っているように見える。
見る側がそう感じる仏像があります。
なんともいえない静かな微笑みに、自分の寂しさを微笑んで受け止めてくれていると感じる。それだから人は、仏像を見ると自然と拝みたくなるのでしょう。
~中略~
観音様もまた一人で立っている。
この寂しさを君は微笑む、ほんとうの孤独を知っている人でなければ、こういう歌はつくれなかったと思います。
~『一〇三歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い』より引用
このエッセイでは歌人の会津八一さんの法隆寺夢殿の救世観音を詠んだ歌を中心として、著者の想いが綴られていた訳だけれども、これを読んだときに、私の頭の中では長谷寺の十一面観音菩薩様のことが思い出していた。
長谷寺と言えば私は奈良の長谷寺も大好きなのだけれども、流石に東京から思い立ってすぐ行ける場所でもないので、今回はほぼ2年ぶりに鎌倉の長谷寺にお伺いしたと言う訳でして。
けれども、鎌倉の長谷寺は、東京から日帰りで行ける場所の中では、癒され度合は最強なのではないかと思ってしまった。
それ位今回こちらにお伺いしたことで、めちゃくちゃ心和み癒された自分が居た訳でして。
高徳院から歩く事数分で長谷寺に到着した。
鎌倉 長谷寺
鎌倉の長谷寺は、拝観料も自動販売機で支払うことが出来て、しかもICカード(パスモなど)対応というハイテク仕様。
それだけ参拝客の多いお寺さんだとも言える。
そして境内にお邪魔して
御朱印は参拝前に御朱印帳を預けて下さいという案内版があったので、素直に御朱印帳を預けて、境内を散策。
手水で清めて
石段を登るとすぐに良縁地蔵さん達に遭遇。
鎌倉の長谷寺のアイコンと化しているお地蔵さんだけれども、やはりそのお姿を見るととても心和む。
そして本堂前に到着した。
本堂(観音堂)
お線香を手向けさせていただき
本堂内へとお邪魔する(本堂内は写真撮影NGなので写真は無しです)
本尊の十一面観音菩薩像は9.18mにも及ぶ本邦最大級の木彫仏ということで、その前に佇むと、やはりとても大きな慈悲のお力を感じることが出来た。
こちらにお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただくと、やはり全ての人々を救いたいという観音様の御心が感じられて、有難い気持ちで一杯になってしまった。
お参りさせていただいた後もしばし、そのお姿をしげしげと眺めてしまった。
本当にお優しいお力に満ちていらっしゃる。
そのお優しいお力と言うのは、長谷寺に関わっていらっしゃる人々にも感化されていると思った。
参拝後に、そう言えば毎朝御先祖様に手向けているお線香がそろそろ無くなりそうだと思って、お線香を入手しなければ、とこちらのお守り等授与所でお線香(白檀・とても心和む良い香り)と十一面観音様のポストカードがあったので、そちらをいただいた。
すると対応していただいた女優の杏さん似のお優しいお寺の方から、宜しければ来年のカレンダーがあるので、お持ち帰りになりますか?と尋ねられ、是非とも頂戴したい旨告げると、2018年の長谷寺のポスターカレンダーをいただくことが出来た。
このカレンダーは長谷寺の四季折々の花が彩られているポスターカレンダーなのだけれども、それはとても美しい風景を切り取ったものなので、こういったものを頂戴出来たことがとても嬉しかった。
そしてやはり観音ミュージアムも見ておきたいと思ったので、本堂に隣接されている観音ミュージアムにもお伺いした訳だけれども(ここの支払もパスモでOKだった!)私が訪れた際には「長谷寺縁起絵巻」が公開されていた。
奈良の長谷寺との関係などを文献で読み、改めて十一面観音様の霊験の深さを学ぶことが出来た。
こちらの観音ミュージアムで対応いただいた係りの方もとても良い方だったので、長谷寺って良い人しか居ないんじゃないかって思った位だった。
観音ミュージアムを後にして、再び境内散策。
長谷寺は高台にあることから、鎌倉の海が一望できる場所だったりする。
昔勤めていた会社の人と鎌倉について話していた時に、その人から長谷寺に行くと良いと言われた。
その人は、長谷寺のこの場所から眺めた景色を見て「この会社に居る場合ではない」と思って転職を決めたと言う話をフト思い出してしまったりした。
今回、こちらにお伺いしたということは、そういう転機なのかも知れないと思いつつ。
そして経堂方面へと向かい
お腹が空いていたことに気付き、海光庵というカフェでランチを取ることにした。
海光庵
こちらはおひとりさまでも全然OKなところで、今回私も一人でお邪魔した訳だけれども、窓際の見晴らしの4人掛けの良い席に案内された。
一人なのに申し訳無いなぁという気持ちになりつつも、その席から眺める風景の美しさに感動してしまった。
そして今回は数あるメニューの中から、鎌倉長谷寺名物の「お寺のカレー」なるものをいただいた。
お寺のカレー ¥1,200
お肉などの動物性のものは全く使われていないというそのカレーは、甘味とナッツ系?らしきコクが深く、とても優しい味がした。
スープも玉ねぎをじっくりと炒めて出された甘味が絶妙で、サラダも梅の香りがほのかに香るドレッシングがとても美味しかった。
精進料理なのに、精進料理らしからぬその味と満足感に、こちらでランチを取る事にして正解だったと思ってしまったりして。
美味しい食事をお寺の境内でいただくと言うことも、とても癒されることなのだと思ってしまった。
そしてお会計を済ませようとレジに向かうと、カフェに給仕されているお坊さん?から、お席にカレンダーを忘れていますよ、と言われ、先ほど頂戴したカレンダーを置きっぱなしにしていることに気付き(恥)、お礼を述べると同時にお会計を済ませた。
どうでもいいような、こんなやりとりでさえ、お寺の方の優しさが感じられ、ますます今回長谷寺にお伺いしてよかったと実感している自分が居た。
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