南院から檀上伽藍方面へ歩く。
GW中にも関わらず、その道は静寂に満ち溢れていた。
そして金剛峯寺の前を通り過ぎ
今回の旅の最後にお伺いしたかった、檀上伽藍に到着。
それぞれのお堂で祈りを捧げる。
今度は何時お伺い出来るのかは分からないけれども、こうやってこの地に再びお伺い出来たことの幸運に感謝するしかなかった。
そして最後に善女龍王様のところにお伺いした。
また再びこの地にお呼びいただけるようにと願いながら。
檀上伽藍を後にして、宿坊で預かってもらった荷物をピックアップして、近くのバス停でバスを待つ。
すると誰も乗車していないバスが到着し、臨時便ということでこのバス停から出発するバスに乗車することが出来た。
そして高野山駅からケーブルカーに乗車すると、これまた臨時便ということでGW中にも関わらず、ケーブルカーに座ることが出来た。
そして難波までは特急券が売り切れていた為、普通電車に乗車したので、立ちっぱなしの移動を覚悟していたけれども、難波までは全て座ることが出来て、難波に到着するとすんなりと伊丹空港行きのバスに乗車することが出来た。
これも空海さんの御計らいなのだろうと思ってしまったりして、、、
今回の旅に出る前は、正直言って期待と怖さが入り混じっていた。この旅に出ることによって、自分が後生大事に抱えていた「何か」が失われてしまうような、そんな、感覚。
そして、確かに、この旅に出たことによって、その「何か」は失われていた。
けれども、その「何か」が失われた世界は、とても平穏に満ちたところだった。
波動というものがあると仮定するのならば、今までの世界とはまるで違った波動が身の回りを包んでいるかのように感じられる程、優しい世界へと変化していた。
それは現世的なご利益~例えば、収入が劇的に増えたとか、仕事で認められたとか~そういった類のものでは無く、本当に目に見えない感覚でしか計れないものだったりする。
傍目から見たら、私の生活は普段とは全く変わらない。
旅に出る前と同じような仕事をして、普段通りに生活しているだけなのだけれども、その普段の生活の何気ない一コマでさえ、とても愛おしく感じる自分が居ることに自分自身で驚いてしまう位だったりする。
本当にこの旅に出て良かったと思う。
この旅こそ、私の見る世界が一気に変化した旅だった。
そしてこの旅は、神様や仏様、そして御先祖様によるお導きの旅だったのだろう。