『神道と日本人 魂とこころの源を探して』という本を読んだ。
神道系の本にありがちな、古事記や日本書紀のまとめ本みたいなものか
著者の思想を述べた本かと、半ば冷やかし程度に読んだけれど、良い意味で予想は裏切られた。
山村明義さんという、ノンフィクション作家の方が
約3年半にわたり、日本全国で二百人以上の神社神職へのインタビューを行い、著したというもの。
神職の方の生の声が収められているのも、読み応えがあったし
なにより
日本人としての誇りを持ちたい、という気にさせてくれた。
そして常々思っていた事、
いわゆるパワースポットという所に赴いた際の違和感。
– 聖なる土地に来ているというのに、敬意を払う人が少ないのか? –
という事についても、分かっている方は危惧しているのだと。
伊勢神宮の広報・河合禰宜の談として最近の「神社ブーム」について書かれていた。
確かに熊野や出雲のブームもあるのでしょうけど、いま、伊勢の神宮に注目して下さっている方が多く、本当にありがたいことだと思います。
ただ、パワースポット・ブームのなかで、本質的なものが見失われていく、という危惧も正直にいってあります。本来なら、実際に感じていただく部分が、ブームによって人が増え、感じることが出来にくくなっている、という気がするのです。
本当に来るべき人が来ていただけるような雰囲気を、私たちは守っていかなければならないと思うのです。
そしてこの本の著者である山村明義さんも
(略)総計百二十五社のお宮には、日本の神社のほとんどの「神性」が集大成されているのだ。
ところが、そのような感性と美意識をうしなった日本人のなかには、内宮へ向かう参道の玉砂利を携帯電話で話をしながら歩き、あるいは大声で喋りながら、聖域である正宮近くまでゆく不作法きわまりない人も、最近は少なくない。
と述べられているのを読んで、こういったことを感じていたのは
私だけではなかったんだ、と。
昨日、気が向いてTVをつけたら伊勢の特集をしていた。
そして夜、何故か寝れなくって再びTVをつけたら、また伊勢についての番組だった。
こういうTVに影響されて、パワースポットー♪なんて気軽なノリで
きちゃう人が増えるんだろうなぁ、と思った。
とにかく自分だけでも
神社仏閣に行く際には、不敬にあたらない態度で臨んでいけば
それが広がって
いつしかスタンダートになると思いたい。