宿泊していたJR奈良駅近くのホテルを出発して、近鉄奈良駅へと向かう。
そのまま真っ直ぐ進んでいけば、春日大社に辿り着けるのだけれども、今回の旅ではやっぱり吉野に行かなくてはと思えて仕方がなかったので、今回春日大社にお伺いすることは断念した。
近鉄奈良駅で「吉野山・蔵王堂秘仏拝観券付割引きっぷ」というお得な切符を購入して、電車を乗り継いで吉野駅に到着。
しかし改札を出て目にしたのは、「吉野山ロープウェイの運休について」という案内版だった。
吉野山ロープウェイというのは、あのケーブルのことなのだろうか?と思いつつ、ケーブルのりばに進んでみると
やっぱりこのケーブル=ロープウェイだった(爆)
毎年このロープウェイに乗車する度、いつロープが切れてもおかしくないと思わせる程のギシギシ音を立てて運行している様子に、いつもスリリングな体験をさせてもらっていたのだけれども、今回は乗車出来ないとなると寂しい気持ちになったりした。
けれども実際問題としては、ここからどうやって金峯山寺に向かうか、ということだったりして。
吉野駅からは中千本までのバスが出ていたけれども、多くの人が七曲遊歩道に向かって歩いている様子を見て、私も金峯山寺まで歩いて行く事にした。
すると、歩いてすぐのところに神社があった。
幣掛神社
大峯山 一の行場
幣掛神社
修験道の霊峯大峯山に登拝することを一般に山上参りといい、その入口がここで、古くから登山の安全を祈る第一の神社でもあります。
と書かれていた。
今回で吉野にお伺いするのは4度目となる訳だけれども、いつもロープウェイを利用していたので、こちらにこういった神社が御鎮座されていることを知らなかった。
そしてロープウェイが利用できなかったことで、こちらの存在を知ることが出来たということも何かのご縁だと思い、お参りさせていただくことにした。
手水で清めて
鳥居を潜り
石段を登ると、こじんまりとしたお社があった。
こちらの御祭神は速秋津比売命様。
速秋津比売命様と言えば、大祓祝詞にも出てくる祓戸大神<瀬織津比売・速開都比売・気吹戸主・速佐須良比売>のうちの一柱である神様。
大祓祝詞の中では「荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百会に坐す速開都比売と云う神 持ち加加呑みてむ」と書かれている海の神である速秋津比売命様は、大海に流れ出た罪穣れを勢いよく呑み込んでしまうと言われている。
そして、こちらにこういったお社が御鎮座されていることを知ることが出来ただけでも、私にとっては大きな喜びだった。
ロープウェイの故障ということで、偶然にもお伺いさせていただく格好になってしまったご縁に感謝しつつ、こちらにお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただく。
すると、とても、麗しい神さまの姿が視えた。
本当に自分の足で歩いてみないと、分からないことって多い。
そんなことを思いながら幣掛神社を後にしようとすると、役行者様もお祀りされていることに気付いた。
幣掛行者堂
そしてそちらの傍には幣掛地蔵尊
幣掛地蔵尊
それぞれお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただいた。
速秋津比売命様と言う、あの世とこの世の境の神様。
その神様がこちらに御鎮座されているという事の意味に、思わず納得している自分が居た。
吉野という土地は、本当に不思議な場所だと言える。
龍体と言われるその土地に私は何故か惹きつけられるものを感じて、そしてご縁もあって初めてお伺いして以来、金峯山寺の御開帳に合わせるような格好で4年連続でお伺いしている。
そして今回も、これほどまでに毎年お伺いさせていただいているご縁に改めて感謝せざるを得なかった。
そして七曲遊歩道をゆっくりと歩いて行く。
桜の時期にこの遊歩道を歩くことが出来たのならば、さぞかし美しいのだろうと思いつつ、新緑の中を歩く。
けれども、新緑の中を歩いていると、桜にも負けずにも劣らない美しさがあることに気付く。
生命の息吹、そんなものを感じながら、ゆっくりと歩いていた。
そして休憩所があったので、そこで一休み。
こんなに素敵な景色が見られる休憩所があったんだーなんて思いながら、持参していたお茶を飲み、しばしその風景に見とれていた。
そして大橋を通り
ロープウェイの駅を通りすぎ
黒門に差し掛かる。
黒門
ここからはいつもの風景なのだけれども、いつお伺いしても吉野に来たのだと思えるものがある。
そしてしばらく歩くと銅の鳥居に差し掛かる。
銅の鳥居
こちらは、本当に聖と俗の分かれ目のような気がする。
こちらの鳥居を潜ると、シャンとした気分になる。
そして、鳥居を潜ると行者堂。
行者堂
こちらでも再びお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただいた。
私が今回吉野にお伺いしたのは、5月3日。
5月3日は大峯山寺の戸開けということもあって、行者堂の前にはお菓子や果物などが沢山備えてあった。
そんなこともあってか、なんとなく華やいだ雰囲気を感じつつ、私もウキウキした気分で歩いていくと、私のとても大好きな金峯山寺が見えてきた。