家の近くに何故か神社が沢山あるのですが、
一体何の神様なのだか 最近まで良く分かっていませんでした(爆)
ただ神社めぐりをするようになって、家の周りの神社の神様は、
それはそれはバラエティ豊かで、
日本って本当に八百万の神様がいらっしゃる土地なんだなぁと、実感しました。
そもそも全国の神社にまつられている祭神は、その源をさかのぼれば、
それぞれが属する根本の神がいらっしゃるという事で、
知っていそうで知っていない、日本の神々の系統についてまとめてみました。
神々の系統
氏神
もとは各氏ごとにあった神社。
いまでは村単位、地域ごとの神社と言ったほうが一般的ですね。 ふつう産土神または鎮守さまと呼ばれていて、産土神は生まれた土地の神様であり、 生まれた子供の初宮参りをする神社と言われています。 成長して他の土地に移住しても、その人の一生を守護してくれる神様が産土様です。
それに対して鎮守様は、一定の地域の土地と、そこに住む人々の守り神です。 引っ越してきた際などは、最初にご挨拶に行かれ、
うれしい事などがあった場合にも、お参りしてみると良いと思います。
天王(てんのう)
photo credit:inariage.com
日本の神仏習合における神様で、牛頭天王を略して天王と言い、 牛頭天王は疫病除けの神様とされています。 牛頭天王は古くから素戔嗚尊と同一視されていますが、 インドの祇園精舎の守護神であるとか、 新羅(朝鮮)の牛頭山の神などともいわれています。
また、京都の八坂神社の事を祇園社と言いますが、祇園社は 貞観18(876)年に藤原基経が疫病を鎮めるために牛頭天王を祭って造営したもので、 その祭は祇園祭という事で有名です。
天神(てんじん)
photo credit:inariage.com
天神は、もとは地祇(くにつかみ)に対する天神(あまつかみ)のことで、 各地の地名を冠した○○天神の事を言います。 それが一般にいわれている天満天神に統一されたのは、 平安時代に菅原道真の霊を祀ったことがきっかけと言われています。
政敵の讒言によって大宰府に左遷された菅原道真は、 恨みをのんで大宰府に没すると、ほどなく都には天災が続き、 政敵一門に死者続出の異変が起こり、それらは道真の怨霊のなす業だと恐れられた為、 朝廷では道真の霊を鎮めるため来たのに神社を造営し、菅原道真を祀りました。
天満宮、天神は生前の道真が学問、詩歌、文筆にすぐれていたところから、 進学・合格祈願の神として信仰を広く集めています。
八幡
八幡を名乗る神社は、大分の宇佐神宮(一般には宇佐八幡宮)を根本社として、 全国の神社の三分の一以上を占めるといわれています。 八幡宮の祭神は、八幡大菩薩(応神天皇)、大帯姫命(神功皇后)、 比売神(多紀理姫命・市杵島比売命・ 多紀津比売命)です。
東大寺の大仏建立を援助するため、八幡神は天皇と同格の鳳輦に 乗って入京したといわれており、八幡神の格式の高さを示した一例でもあります。 また、僧道鏡は「皇位につけ」と宇佐神宮からお告げがあったと言った為、 和気清麻呂が宇佐神宮の神意をうかがうと、全て偽りだったと判明したため、 皇位の政党が守られたという伝えもあります。
八幡神は国家鎮護、厄除け、安産、育児など幅広い神徳があると言われています。
伊勢
ただ単に「神宮」と言えば、伊勢神宮の事になります。 皇大神宮(内宮)と豊受大神宮(外宮)と、この両大神宮の正宮には、
別宮、摂社、末社、所管社が所属し、計125の宮社となり、 これらの宮社をふくめた場合も「神宮」といいます。
皇大神宮には天照大神、豊受大神宮には豊受大御神を祀り、 伊勢神宮の分祀社を神明社といいます。 神明とは元来神一般をいい「天地神明」などと用いられてきましたが、 のちには伊勢神宮を指して言うようになりました。
熊野
熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社をあわせて熊野三山を総本社といいます。 祭神は櫛御気野命(食物の神)とされており、 分祀社としての熊野神社は全国に四千社余りあります。
熊野は古くから山岳信仰の地で、修験道の山伏の霊場でもありました。 代々の天皇の信仰も厚く、世に「熊野御幸」と称せられました。 行者以外の信仰も厚く、加えて牛王宝印という、鳥を梵字風に図案化した神札が評判となり、民衆の信仰に拍車をかけ、ひきも切らない参拝者の列をたとえて、 「蟻の熊野詣」「蟻のとわたり」とまでいわれていました。
山王
山王とは山の神を意味する名称で、山岳信仰から始まりました。 比叡山を神体とし、大山咋神を祭神とする大津市・日吉神社の
分霊を祀る東京都の日枝神社が根本社で、山王社は四千社近くあります。
稲荷
伏見稲荷として知られている京都の伏見稲荷大社が総本山になります。 この伏見と、佐賀・祐徳稲荷神社、茨城・笠間稲荷神社が日本三大稲荷という説と、 伏見と愛知・豊川稲荷神社、茨城・祐徳稲荷神社が日本三大稲荷という説があります。
赤い鳥居と眷属であるキツネがお稲荷さんにはつきもので、 キツネは田の神の神使とされ、人々に豊かな富をもらたすといわれています。
鹿島・香取・春日
茨城県・鹿島神宮と千葉県・香取神宮は、常に鹿島・香取と並び称される 関東最古の神宮であり、鹿島神宮は武甕槌命、香取神宮は経津主神を祭神とし、 ともに中臣氏(藤原氏)の氏神として発祥しました。 両神宮は武の神、軍(いくさ)の神として栄え、勧請した分祀社は併せて千四百社あります。
奈良県の春日大社は、鹿島神宮の武甕槌命、香取神宮の経津主神を迎えて祀っており、 はじめは平城京の守護神でした。春日大社は全国に約三千余りあります。
浅間(せんげん)
浅間信仰は即富士山信仰といってよく、かつては修験道場でもありました。 江戸時代には富士講または浅間講などが組織され、
富士登山参拝が急速に大衆化していきました。
浅間神社は、富士山を中心とする周辺に多く、 特に富士山を眺望出来る地域に顕著にみられます。 その数は全国に千三百社余りといわれています。
諏訪
photo credit:信州写真館
長野県の諏訪大社を総本山とする諏訪神社は、特に新潟県、 長野県に多く、分祀社を含めると全国に一万社以上あるといわれています。 諏訪大社は上社・下社に分かれており、上社に建御名方神(たけみなかたのかみ)、 下社には八坂刀売命(やさかとめのみこと)の夫妻が祀られています。
古くから「諏訪明神」または「お諏訪さま」と呼ばれ、農耕神、狩猟神として、 さらに鎌倉時代には武神としても信仰されてきました。
諏訪大社には御柱とよぶ四本の樅の大木を立てていますが、 七年ごとに取り換える行事を「御柱祭」と言って、 ひときわ盛大に執り行われる祭としても有名です。
愛宕・秋葉
愛宕神社、秋葉神社はともに鎮火・防火の神で、両社とも 火之迦具土神 (ほのかぐつちのかみ)を祭神としており、 「大権現」として信仰されています。
愛宕の総本社は京都の愛宕神社で、愛宕山頂にあります。 昔は修験道場として栄え、愛宕山伏は諸国に愛宕神社を勧請して広めました。 愛宕は近畿以東に多く約八百社を数えます。
秋葉の総本社は秋葉神社で静岡県の秋葉山頂にまつられています。 秋葉信仰は古代の山岳信仰に発し、霊場として発展してきたもので、 その勧請分社は全国各地にみられます。
淡島
photo credit:http://keisuke-photo.com/index.html
和歌山県の加太神社を俗称淡島明神とよんでいます。 祭神は少彦名神(すくなひこなのかみ)とされ、各地の淡島さまは ここから勧請されたものといわれています。
婦人病を治す神様として、特に花柳街の女性に信仰されてきました。 元禄頃から、淡島明神のお札を入れた小さな神棚を担いで、
諸国を巡り歩いた淡島願人と称する者がいて、広く信仰を広めました。 また、淡島は裁縫の上達を願う神様で、毎年針供養には折れ針を供えて祀ります。
住吉
住吉神社は航海、漁業の守護神で、全国の港湾、河口に多く祀られています。 祭神は底筒・中筒・上筒之男命のいわゆる住吉(墨江)三神です。 大阪、山口、長崎、福岡にあるのが代表的な住吉神社で、 全国の住吉神社はここから勧請されています。 その数は二千社近くあると言われています。
宗像・厳島
宗像神社、厳島神社ともに宗像三神を祭神としています。 宗像神社の総本社は福岡県にあり、分祀社は約九千社にも及びます。
厳島神社は、日本三景のひとつに数えられる広島県宮島にありますが、 厳島神社が有名になったのは、平清盛が現在の社殿を造営したからです。 厳島神社の分祀する神社は、弁天社を含めて六千社ほどあると言われています。
塩竃
塩竃神社は日本三景の一つ、松島を見下ろす宮城県塩釜市にあります。 祭神は、武甕槌神(たけみかづちのかみ)、経津主神(ふつぬしのかみ)、 塩椎神(しおつちのかみ)をお祀りしていますが、主祭神は塩椎神(塩土老翁)となります。
塩竃神社は航海安全、漁業・安産の神として知られていますが、 塩椎神がこの地に到り、はじめて精塩法を教えたと言われています。 主に瀬戸内海の精塩地を含めて、全国に百七十余の分祀社があります。
金毘羅
香川県琴平町の金刀比羅宮に代表される金毘羅神は、航海安全、海難救助の神様です。 社殿のある象頭山は、海上からよく目立つところにあり、航海の目標になるので、 航行の船は航海の安全を祈り、無事を感謝して参拝しました。 それが出来ないときには、空き樽に「奉納金毘羅大権現」の幟を立てて流す習慣がありました。
出雲
単に大社といえば大国主命を祀る島根県の出雲大社をさします。 その出雲大社は伊勢神宮にも匹敵する大社(おおやしろ)であり、 分祀社は氷川神社、出雲神社などといい、その数は千三百を超えます。
十月を別の言い方で「神無月」というのは、 出雲以外の神々が一斉に出雲に集合するためにいい、 反対に出雲ではこの時期を「神有月」ということになるそうです。
来年の初詣は、行く神社がどの神様の系統か、 確認して行ってみてみるのもいいかも知れませんね~!
参考文献:監修 阿部正路『日本の神様を知る事典』