いつも誕生日前になると何故か落ち込む。誕生日クライシス、とでも言うべきなのか、今回の誕生日前も、もれなく落ち込んでいた。誕生日前後はエネルギーが変化する時という説もあったりするけれども、今回は特に酷かった。
もともと誕生日に旅行がしたいな、と思って計画した、今回の北陸の旅だったけれども、出発前から、もうドウデモイイヤという気分になってしまい、旅行前日にはキャンセルしてしまおうかと思った程だった。
けれども、結局は今回の旅もいろいろな気づきをいただけた。
朝に羽田空港発のANA751便に乗って、小松空港へ。
小さい飛行機のためなのか、バスに乗って飛行機まで移動した。
そして飛行機に乗り込もうとすると、後ろにお坊さんが居た。これから永平寺に行くということに余り実感が持てなかった私に、お寺に行く事を自覚するようにと促しているようだ、と思いつつ搭乗。
1時間ちょっとのフライトで小松空港に到着。
そして、小松空港から福井駅へと移動。
これまた約1時間、バスに揺られて福井駅に到着した。
空港からのバスが到着するのと同じ場所で永平寺行のバス「特急永平寺ライナー」に乗ることが出来る。
ただ「特急永平寺ライナー」は事前に切符を購入しなくてはならないということで、切符売り場へと移動すると、福井県のキャンペーンポスター、永平寺Versionを見かける。
あぁ、これから永平寺に行くんだなぁ、と、この時は他人事のようにおぼろげに感じている自分しか居なかった。
そしてチケット券売機で永平寺までのバスチケットを購入。片道¥720でした。
こんな真冬の平日に永平寺に行く人なんて少ないだろうと思っていたけれども、意外に多くの人がこの「特急永平寺ライナー」に乗車していた。そして若い女の人が多いことにも驚きを隠せなかった。
「特急永平寺ライナー」で福井駅から30分で永平寺に到着することが出来た。
この「特急永平寺ライナー」は永平寺の正門前まで連れて行ってくれるので、バスを降車すると目の前には、ずっと憧れていた永平寺の姿があった。
永平寺
しかしこの時点でまだ11:20だったので、一泊二日の参籠の受付時間の14:00までは時間があったので、まずは永平寺周辺を散策することにした。
この日は生憎の雨模様のお天気だったけれども、それがかえって永平寺という場所を美しくさせていた。
今回、永平寺にお伺いしたら最初に見ておきたかったのは、大本山永平寺の標柱。
大本山永平寺の標柱
これは七十八世宮崎奕保禅師の染筆によるものだと『道元禅師の寺を歩く―永平寺を中心に、只管打坐の精神が息づく地へ (楽学ブックス―古寺巡礼)』に書かれていたので、是非とも拝見したかったのだった。
そして前回バスツアーで永平寺に来た時には時間が無くて見られなかった場所、地蔵院も見ることができた。
地蔵院
門前町の参道をまっすぐ上がってくると、突き当たりが永平寺である。その正門左手に地蔵院が建っている。
地蔵院は永平寺の塔頭(子院)の一つで、予め上山の許可を得た志願者が、上山の前日に一泊し、上山するにあたっての点検や指示を受ける場所である。
いわば永平寺という仏界と、娑婆との境界が地蔵院というところだろうか。
ということで、この地蔵院も自分の目で見ておきたかった場所の一つだった。
誕生日クライシスの気分は半分引きずりながらも、永平寺という場所に触れていると、次第にいつもの神社仏閣にお伺いできてうれしいという感覚が戻ってきた。
そしてバスに乗っている最中に目にしたお地蔵さんを見たいと思い、参道を下る。
ふと目を上げると、そこには雨の日だからなのか、とても幻想的な風景が広がっていた。
前回バスツアーでお伺いしたのは、8月のお盆休みの時期。その時には参道も参拝客で溢れかえっていて賑やかだったけれども、この日は歩いている人の姿はほとんど見なかった。
ちょうどお昼時だったこともあって、目に入ったお店で昼食を取ることにした。
永平寺そば亭 一休
参籠する前だったせいか、何故かガッツリしたものが食べたくなって一休セットなるものをオーダーしてしまった(笑)
おろしそばとごま豆腐、そしてソースカツ丼がセットになって¥1,300という代物。
一休セット ¥1,300
永平寺そばというものに期待はしていなかったけれども、お好みで使用して下さいと添えられた生七味というものを入れてお蕎麦をいただくと、とても美味しかった。出雲そばより全然美味しい。
お腹が満たされたところで、お店を後にして、こちらのお店の裏手にある志比線刻磨崖仏を見に行った。
志比線刻磨崖仏
九体の磨崖仏が石に刻まれていて、 古いものでは今から約480年前の永正7年(1510)のものがあるということ。
前回バスツアーで来たときには、この辺を歩く余裕も無かったので、こういったものがあるということを、今回来て初めて知った。
そして再び、門前をぶらり。
今回永平寺にお伺いする前に、行ってみたかった場所があった。
事前にプリントアウトしておいた永平寺MAPを片手に歩く事10分程度。歩いている途中にも、ここが仏の街であるということを実感するものを数多く見かけた。
そしてやっとたどり着いたのは、白山神社。
永平寺門前の総鎮守 白山神社
道元禅師以来、永平寺の雲水は白山明神を守護神として仰いでいるということで、永平寺と白山の関係は深い。
7月18日には白山拝登と言って、白山の山開きの日に、夏安吾中の特例として雲水は法衣姿で「白山妙理大権現、仏法大統梁」と唱えながら集団登山するという行事があるほど。
そしてこちらにある白山神社にも春彼岸の入りの3月20日に、一山の修行僧は門前にある永平寺の守護神、白山神社に詣でる「白山神社回向」という行事があったりする。
なので、こちらの白山神社には是非ともお伺いしたかったのだった。
当然、誰も居ない。
参道を歩くとふくらはぎの真ん中位まで雪が積もっていたけれども、参道から入らなければと思い雪をかき分けながら歩みを進めた。
鳥居を潜るとかわいい狛犬さんたちからのお迎えを受ける。
そして拝殿でこちらにお招きいただいたことに感謝してお参りさせていただいた。
お参りさせていただくと、雪のせいかも知れないけれども、とても白く輝くものを感じた。
今年に入ってから、神社仏閣にお伺いするのは自粛していた。
何故ならこの旅でお伺いする、永平寺、そして白山関連の神様に対して、今年一番最初の祈りを捧げようと思っていたから。そしてこちらで参拝させていただくと、自分のこの瞬間というものが、とても大切なようなものに思えて仕方がなかった。
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