早朝、山内諸堂を他の参拝客の方と一緒に回ったけれども、他の参拝客が五月蠅かったので、正直あまり堪能できなかったというのが事実だった。
朝課に参列する位の参拝客だから、永平寺に関する知識はある程度持ち合わせているのかと思いきや、案内してくれた雲水さんに「テレビなどは見ないのですか?」とか「外部との連絡はどうしているのですか?」とか、どうでも良い質問をしていたのを聞いてゲンナリしてしまったというのが事実だった。
なので、再び一人で山内諸堂を回る。
真冬の永平寺、それも朝8時台ということで、参拝客は殆どいなかった。
そして、この状況は約2年前にバスツアーでお伺いした時とは、全く違った表情を見せてくれた。
傘松閣
別名を絵天井の大広間という場所。
日本画家の大家144名の花鳥図がはめこまれていて、この230枚の絵の中に2枚の鯉と、1枚のリス、2枚の唐獅子があり、願いをかけてこの5枚を見つけだすと祈願成就するとされているそうでして。
また、花鳥図は四季を表しているということを雲水さんから聞いた。
私は宮崎禅師様の染筆による「傘松閣」の額が見られたことの方が、喜びが大きかった。
誰も居ない中、傘松閣にしばし佇んでいた。
そして山門方面へと移動。
朝9時前ということもあってか、雲水さん達が足早に山内を移動する姿を見かける(ちなみに雲水さん達を写真に収めることは禁止です)
山門の両脇には54世博容卍海禅師の墨蹟の聯がある。
永平寺の家風は厳しく、たとえ権力があり、地位や名誉に恵まれていても求道心がなければこの門から入ることはできない。しかし永平寺の門はいつも開かれており、真に仏道を求める人はいつでも入ることが可能、という意味。
これも『永平寺 「104歳の禅師」・「修行の四季」 [DVD]』のDVDで見て、是非ともこの目で見ておきたかったものの一つだった。
山門からは、ゆく年くる年でよく映るという、永平寺の鐘が見える。
そして山門からも法堂が見ることが出来る。
雲水さん達がこちらの前を通る時に、必ず手を合わせて通る姿がとても印象に残った。
そして浴室に差し掛かる
浴室
朝課の時に一緒になった参拝客から、山内諸堂を雲水さんと一緒に回ったときに、私が参籠したということが分かったのか、参籠でもこの浴室を使ったのか?と尋ねられたけれども、内心「んなわけねーだろ」と思いつつ、一般の参籠客は吉祥閣にある浴室を使用したことを説明しておいた。
松平公廟所
僧堂
永平寺の階段はとても美しい。
階段だけで美しいという光景もなかなか無いと思ったりした。
白山水
ここでも永平寺と白山の関係を見ることができる。
今回の旅って、結局白山をめぐる旅みたいになったのは、この時は気付かず(笑)
承陽殿
承陽殿は道元禅師を祀る霊廟。
孤雲閣
そして朝課でもお伺いした法堂へ再び。
法堂
再びお参りさせていただいた。
そして仏殿へ。
仏殿
須弥壇中央には本尊の釈迦牟尼仏、右に未来弥勒菩薩、左に過去阿弥陀仏の三世如来が祀られているということ。
そして大庫院に。
大庫院
正面中央には足の速いことで有名な韋駄尊天様が守護神として祀られていて、この裏で修行僧や参籠者の3度の食事が作られている典座がある。
私がいただいたお食事もこちらで作られていたのかと思うと、感慨深いものがあった。
大すりこぎ棒に3回触れると料理が上達するということらしいので、私も触れさせていただいた(笑)
ほとんど人の居ない永平寺内を一人で闊歩できると言う事は、とても贅沢な時間だった。
最後に祠堂殿へ。
祠堂殿
雨漏りがする箇所に洗面器が置かれているのを見る。
冬の永平寺はとても美しかった。
吉祥閣に戻る。
この五則を見て、私も、現実生活の中でもこれらを出来るだけ守ろうと誓う。
そして永平寺の御守りと、永平寺の精進料理レシピ集『身近な食材を使って~三心でつくる典座和尚の料理』という本を購入。そして今回も勿論「瓦志納」の為に、少額だけれども寄付させていただいた。
預かって頂いた荷物をピックアップして、瑠璃聖宝閣に立ち寄り、永平寺に伝わる代表的な宝物を見学させていただいた。そして、そこで白山妙理権現という女神様のお姿を見た。
とても優しいけれども、厳しいものを感じた。
最後に受付のところで御朱印をいただき、永平寺を後にした。
今度は何時お伺いできるのかは、はっきりとはわからない。
けれども、また、絶対お伺いしますと心に誓う。
福井行のバスまでには、まだ時間があったので、寂光院にもう一回お伺いすることにした。
一葉観音
納経塔
こちらも宮崎禅師様の発願によって建てられたものだと知っていたので、実物を目に出来たことがとても嬉しかった。この納経塔を建立するために、宮崎禅師様は私財のほとんど全てを投じたというエピソードに頭が下がる思いで一杯だった。
勅使門(唐門)
この勅使門(唐門)前はパワースポットとか言われているらしいけれども、そういう俗世間的なもの、そんなのどうでも良いと思わせる程のものが、永平寺にはある。
宮崎禅師様のお墓にも再びお参りさせていただいて、自身の今後について誓った。
そして、バス停まで行く道すがら、洗清橋近くにある椅子のところに腰をかけて一息ついた。
すると、キセキレイの姿を見つけた。
永平寺を去るその時に、キセキレイは私の目の前に姿を現した。
この1月下旬の寒い時期に、こんな形でキセキレイを見つけることが出来るとは思っていなかったので、慌ててスマホを取り出して、写真に収めた。
永平寺訪問の最後の最後に、神様と仏様はメッセージを下さった。
キセキレイの姿を私に見せて、キセキレイのように、自ら与えられたものを実行するようにとのメッセージを。